丸安毛糸のあるがまま

ひとつになって初めての表参道展

本投稿は note.com にて 2024年7月25日から8月30日まで、全3回に渡って連載されたものをまとめた記事になります。

2024年5月21日(火)〜24(金)の4日間、表参道で展示会を開催しました。今回は会社の組織変更後(素材部と製品部が合体しました)初の展示会。その様子を、展示会にも参加した入社1年目ニューフェイスの若名詩織さんにインタビューしました。

若名さんがデザインしたコートを持って

わかな しおり若名 詩織

製品部 企画部門/2023年10月入社

小さい時からファッションが好きで、高校と専門学校でファッションデザインについて勉強。卒業後、6年半アパレル会社に勤めるが、もっとものづくりをしたいと考えた時に、丸安毛糸のクリエイティビティに惹かれ入社。デザインだけではなく、糸や編地についてさまざまなアイディアを提案。趣味は推理小説を読むこと。好きな作家は貴志祐介。

もくじ
一体感ある展示会になりました♪
前職から丸安ブログを読んでいた若名さん!?
長きに渡ってニットに真摯に向き合うこと、それが「ニット道」!

一体感ある展示会になりました♪

社長:
若名さんには、入社前に昨年の表参道展を見に来てもらっていたんだよね。

若名:
はい。
その時は、ここまでテーマが練られている展示会を見たことが無かったので、ちゃんとテーマに沿って空間づくりから作り込まれていることが新鮮でしたし、「あ、ここに入れるんだ。嬉しいな」ってわくわくしたことを覚えています。

社長:
今回、入社1年目で参加した感想はどうですか?

若名:
テーマ設計をするチームと、糸を開発するチームと、編み地のアイデアを出すチームと、製品をデザインするチームで分かれていて、たくさんの方が準備段階から携わるので、バラバラにならないかな…と不安でした。

でも、最終的には統一感がある仕上がりになって安心しましたし、感動もしました。

社長:
それはよかった!
入社直後だったけど、メンバーの一員としてしっかり頑張っていたもんね。

若名:
ありがとうございます!

展示会の様子

展示会会場の外観

社長:
今回は2025年のSS(春夏)の展示会だったわけだけど、どんなテーマだったかを読者の皆さんに伝えてくれる?

若名:
はい。今回のテーマは「和紙」でした。
世界的に温暖化の傾向があるなかで、冬でも重いウールは着なくなっています。
じゃあニットができることとは?と考えたとき、日本独自の和紙を使ってニットを作ってみよう、ということになり、素材を開発しました。

社長:
昨今の日本の猛暑に備えて、丸安毛糸としてこんなニットが作れる、ということを示すことのできた展示会になったよね。

若名:
そうですね。
ニットでも、清涼感のある爽やかなものができる、という可能性を提案できたと思います。

今回のメインビジュアル

社長:
展示場の広さは100㎡弱くらいある、いつも使わせてもらっている会場で、今回も常に20名以上の方にご来場いただいてにぎわっていたね。

若名:
アパレルのお客様以外にも、お取引をさせていただいている工場の方にも来ていただきました。

社長:
さまざまなジャンルの方が集まるので、皆さんの情報交換の場にもなるのが展示会のメリットだからね。

若名:
はい。
展示会で実際に製品を見た工場の方も誇らしげで「これかっこいいでしょ?」なんておっしゃっていました。
制作に携わった方々との関係性がより深く築けるのも、展示会の魅力だなって感じることができました。

社長:
普段、なかなか顔をあわせて話せないから貴重な場だと思う。

若名:
スケジュールが厳しい中で、頑張って編んでいただいているニッターさんにも、直接ご挨拶ができてとても嬉しかったです。

社長:
初めての展示会、不安はありましたか?

若名:
お客様にプレゼンをするというのが、自分に務まるのかなっていう心配はありました。
でも、今回は素材部のすごい知識量に加えて、私が製品部として補足で、トレンド感などをお客様に合わせて提案できたので、いいプレゼンができたと思います。

社長:
まさに、今回の社内の組織変更が生きた展示会になったと。

若名:
お客様に納得感を持ってもらえるプレゼンができたと思います。

社長:
リピーターの方もいらっしゃるし、新規の方もいらっしゃるし、お客様のこだわる部分も人それぞれだからね。

若名:
そうですね。
産地にこだわる方や滑らかさにこだわる方など、さまざまな意見があります。
ですから、事前に準備しつつ、そのときのお客様に合わせてプレゼンさせていただきました。

社長:
今までは、製品部のお客様と素材部のお客様ってイコールじゃなかったんだよね。
今回は一体になってプレゼンできたから、お客さんに見せるとき、説明に厚みが出たと思う。

若名:
素材部の知識をふんだんに使いながらプレゼンするのは、お客にとっても納得感をもってもらえると思いました。

製品づくりにおいても、素材部がやりたいことを製品部が活かしていくという連携がとれていると感じます。
今後もプレゼンするときに、強みになっていくと思います。

社長:
うんうん。

若名:
解像度が高まった感じです。

社長:
解像度が高まる!
おぉ。展示会すごいね!(笑)

前職から丸安ブログを読んでいた若名さん!?

社長:
若名さんは、前職でどんなことをしていたのか聞かせてくれる?

若名:
アパレル会社でデザインを任せていただいて、製品作りを担っていました。もともとはデザインが好きでこの世界に入ったのですが、デザイナーをやりたかったわけではないんです。
お客様の叶えたいものを実現する、ということに面白さを感じていました。

6年半アパレル会社でデザイナーをしていた若名さん

社長:
その頃は、丸安毛糸のことは知っていた?

若名:
はい。もともとニットの専門知識がないので、ニットを扱う時は、丸安毛糸のブログを参考にしていました。

社長:
うちのブログが役に立っていたんだ!(笑)

若名:
工場さんにどう伝えたらいいか、とか、ニットのことで悩んで検索をかけると、いつも丸安毛糸のブログが出てきて助けられて、もう本当にお世話になりました(笑)

社長:
前職時代に、取引があったわけではないんだよね?

若名:
はい。私が一方的に知っていて勉強させていただいただけです。

その後、転職活動をしている中で丸安毛糸からお声がけをいただき、あ!あの丸安毛糸だ!ぜひ入りたい!と思って、入社しました。

ブログを褒められてすごく嬉しい

社長:
入社が決まってからこれまでの間で、丸安毛糸で印象的なことがあったら教えてくれますか?

若名:
会社の屋上で「糸をろ過して紙を作る」という実験をしていて。
毛糸の会社ですから、紙を糸にするのならまだわかるのですが、糸を紙にする、という発想にびっくりしました。
え、何しているの?って。

社長:
あのときは、僕も屋上に呼ばれて見に行ったんだけど。
カメラ持ってきてください!とか言われて、何をしているんだろうと思いながら。
いろいろなウールを混ぜて乾燥させて紙にしていて、みんなすごく楽しそうだった。

若名:
やったことないけどこれ面白そう!ということをできる空気感や、新しいアイディアにみんなで取り組むことが素敵な会社だな、と思いました。

社長:
あのときできたものをイタリアの展示会『Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)』に持って行って展示したんだよね。
イタリア語と英語で説明を書いて貼っていたら、結構みんな立ち止まって読んでくれて。

若名:
皆さん興味を持って読んでくれたみたいですね。

社員みんなで「とにかく一回やってみよう!」という雰囲気になれるのがとても楽しいと、今も感じています。

社長:
入社して間もないけど、すでに色んなところに出張に行っているんだよね?

若名:
はい。前職では出張に行けなかったのですが、今は国内外たくさんのところに行かせていただき、本当にありがたいです。
工場を目の当たりにしてお話すると、文化や熱量を直接知ることができて、もっと頑張ろう!という気持ちになります。

社長:
つい最近は中国に出張に行ったんだよね。

若名:
はい。実際に中国の工場を見られたので、とても勉強になりました。
工場のシステムがどんどん進化していて、たくさんの可能性を感じました。

社長:
中国はすごいよね。
エネルギーも思考も日本と全然違うから、こちらもモチベーションが上がる。

若名:
「できますか?」と相談すると、絶対に「できる」と言ってくれるので、かっこいいなぁと思いました。

社長:
来週から、イタリアの展示会『Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)』があるんだけど、若名さんが企画したこの茶色のコートも出展するんだよね。

イタリアで展示するコレクション

若名さんが企画したコート

MONTELUCE(モンテルーチェ)のブランドロゴのタグが付いています

若名:
そうなんです。
軽くて張りが出るような仕上がりになっています。

社長:
これかっこいいよね。
メンズがあったら僕も着たいなあ。黒も欲しい!

若名:
ありがとうございます。
これは編んだものを生地にしてから、裁断縫製しています。
こういう使い方をしてもニットって面白く仕上がるので、可能性が広がることを知っていただきたいと思います。

軽くて暖かくて、サラッと着られます

社長:
表参道の展示会は、若名さんのデビュー戦という感じだったと思うけれども、社内から、今までの展示会との違いや感想は聞く?

若名:
やはり、素材と製品のチームが一緒に取りくんだことは大きかったと思います。
さらに編地チームとテーマチーム、合計4つのチームが連携したので、統一感も出たし、皆さんもやりやすかったとおっしゃっていました。

社長:
今まではサンプルも、素材と製品で別々に作っていたからね。
統一感も出にくかった。
今回はひとつのテーマに対して、チームみんなでごっちゃになって取り組むことで、統一感が出たと。

若名:
お客様に買ってもらうための展示会なので、たくさんの情報量を納得感を持って与えられたことが一番だったと感じました。

長きに渡ってニットに真摯に向き合うこと、それが「ニット道」!

社長:
今回の表参道展示会にご来場いただいたお客様と接して感じたことなどを教えてください。

若名:
どのお客様も、とても楽しみに来てくださっていたので、やっぱり丸安毛糸の糸はすごいんだな、と思えました。
皆さん、常に何か新しいものを求めているということが、よくわかったのは大きな収穫でした。

社長:
展示会を主催すると、直接お客様の話を聞けるからいいよね。

若名:
ベーシックな糸、つまり普通に思える糸でも、見せ方次第でお客様の反応が全然違うこともわかりました。
より理解が深まって、展示会をやる意味、製品を作る意味というのを、しっかり感じられたことがとてもよかったです。

社長:
初めてプレゼンをした感想は?

若名:
自分の言葉で話すことで、私達の仕事は製品を「このデザインかっこいいでしょ!」と売るのではなくて、あくまでも、ニットという専門的なアイテムの中の「アイデアをお伝えすること」だと実感しました。

社長:
実際に言葉にすることで、気付きがあったと。

若名:
はい。今後も、どんな形にしたらこの糸の魅力がより伝わるのか、とか、お客様の作りたい気持ちに応えられるか、ということにこだわって企画していきたいな、と強く思いました。

社長:
いまの若名さんから見て、丸安毛糸はどんな会社?

若名:
面白い人たちが面白いことをどんどんやって、好奇心旺盛な会社です。
現状維持とか、与えられたものだけやります、というスタンスの人がいないんじゃないかな、と思います。

社長:
みんな、何か面白いことないかな?っていつも探しているような感じだよね。

若名:
はい。ですから、私もどんどん好奇心が強くなってくるし、知らないことがどんどん学べて吸収できるし、そこがとても魅力的だなと思っています。

社長:
創業から70年経っている会社とは思えないでしょ?

若名:
そうなんですよね。
社歴の長い田崎さんが、まだまだ何か面白いことあるんだ!みたいなことを先日の朝礼でおっしゃっていて、もうめちゃくちゃ知識欲が止まらないんだなぁ、と思いましたね。

社長:
田崎は社歴40年越えなんだけど、「教えてターさん!」というブログをやっていて。本人もすごく知識欲があるんだけど、さらにそれを後輩に教えていきたい、という欲もあって。残していきたい、みたいな。

今日もそのインタビューをすると言ったら、4人だっけ?

若名:
5人です…

社長:
そう5人、ぞろぞろと田崎について行った(笑)

若名:
みんな、「知りたい!」が強い会社ですよね。

↑ 上のブログは、勤続年数44年、丸安毛糸大ベテランのターさんに、糸のアレコレをスタッフが質問し、それに答えてもらう自由気ままな企画です。

社長:
最後に、若名さんが今後やっていきたいことや、目標を聞かせてもらおうかな。

若名:
まずは何よりも、お客様に何を聞かれても答えられるような製品のプロでありたいです。
さらに、ニットって本当に奥が深いので、自分の知識を増やして、デザイナーさんたちのやりたいことを実現できるようになりたいです。

社長:
作り手においても、残念ながらニットの知識がない人たちが増えているんだよね。
僕たちがどんどん新しいものを作りたくても、それを作り手や編み手に理解してもらえないとだめ。

だから、僕たちは常に作り場に対してもちゃんと話をしなきゃいけないし、売り先に対しても、「こんなことができるんですよ」と丁寧に伝えていかないといけない。

若名:
そう思います。
そのために、自分の知識量を増やしていきたいです。

社長:
うん。
知識と言えば、僕がすごく好きな言葉があるんだけど。エルメスさんの。

エルメスではレザーに何よりも重きをおいています。レザーを知り尽くしたとは決して言いませんが、長きに渡ってレザーに真摯に向き合ってきたという自負はあります。

エルメス特別エキシビジョンLEATHER FOREVERより

社長:
かっこいいなあ、と思って。
あのエルメスさんが、自分たちはレザーを知り尽くしたとは思わない、でもどこよりも真摯に向き合っている自負がある、と。

僕たちも知識で一番になるというよりも、どこよりも真摯にニットに向き合っている、というスタンスを忘れないようにしたい。

若名:
知識も大事だけれど、向き合う姿勢がもっと大事、ということですね。

社長:
そうそう。
たとえば何か間違いを指摘されても、それを認めて「はいすみません」と謝ればいい。

そこからさらに勉強しよう、というのが真摯に向き合おうということだと思っているわけ。
ということを、僕はエルメス先生から学びました。

若名:
良い言葉ですね。私も見習います!

社長:
知識なんて終わりがないじゃん。
さっきの40年のベテラン田崎も、ニットはまだまだ難しいよって言ってるんだから。

どこまで学べばいいんだ、と若い人は思うだろうけど、
そんなの終わりがないからさ。

誰かみたいになりたい、ってなるかもしれないけど、その人も成長し続けるのだから追い付けるわけがない。

そうではなくて、常に自分は誰よりも真摯にニットに取り組んでいるんだ、と思ってやっていけばいい。

若名:
知識の一番なんて目指さなくていい、ということですね。

社長:
そう。
長きに渡ってニットに真摯に向き合うこと、
それが「ニット道」だよね(笑)

若名:
ニット道!!(笑)

もう本当に奥が深いので、こんなに面白いんだよっていうのを突き詰めていったら、多分もう止まらないですね。

社長:
我々丸安毛糸のスタッフが、そうやって面白がって追求し続けていれば、きっとそれって、アパレルの人や一般の人にも届くと思うんだ。

表参道展示会を見ていても思ったけど、
うちのスタッフの対応はすごく楽しそうなんだよね。

それがとてもいい空間を演出できている理由なんだと思うんだ。

若名:
そうですね。
お客様に「これ面白いですよね?!」とお見せしている感じでした。

話が弾み、予定時間を大きくオーバーしました

社長:
それで会話が弾むから、とてもいいよね。
いい意味でファッションの敷居が下がって。
わかった人だけ買ってくれればいいんじゃなくて、みんなに買って欲しいから。

若名:
はい。ニット道、勉強になりました!

 

(終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました)

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