さの こうし佐野 貢士
製品部 営業部門/2011年入社
ニットデザイン科を卒業し丸安毛糸に入社。糸の可能性に魅入られ、以降、糸一筋。デザイナーと打ち合わせをしながら、最適な糸の選択やニットテキスタイルの提案を行う。工場からの信頼も厚く、現地で展示会も開催。異業種とのコラボも積極的に展開する。素材を扱う専門家として、さまざま可能性にチャレンジし続ける。ロックンロールが大好き。
丸安毛糸のあるがまま
本投稿は note.com にて 2025年1月22日から2月27日まで、全5回に渡って連載されたものをまとめた記事になります。
入社14年目(2024年時点)の佐野さんは、糸と編地(あみじ)を心から愛するその在り方と丁寧な仕事ぶりから、ニット工場や取引先から厚い信頼を得ています。また、幅広い趣味や特技を持ち、それらを活かして自ら異業種とのコラボレーションも企画しています。そんな佐野さんも、はじめから色々できたわけではありません。新卒での入社から現在まで、どのように道を切り拓いてきたのか、その足跡を岡崎社長が詳しくインタビューしました。
さの こうし佐野 貢士
製品部 営業部門/2011年入社
ニットデザイン科を卒業し丸安毛糸に入社。糸の可能性に魅入られ、以降、糸一筋。デザイナーと打ち合わせをしながら、最適な糸の選択やニットテキスタイルの提案を行う。工場からの信頼も厚く、現地で展示会も開催。異業種とのコラボも積極的に展開する。素材を扱う専門家として、さまざま可能性にチャレンジし続ける。ロックンロールが大好き。
社長:
今回は佐野くんに、丸安毛糸ならではの取り組みや、
佐野くんが自分で開拓した異業種コラボのことなど、たくさんの話を聞こうと思います。
ところで、入社して何年になるんだっけ?
佐野:
14年になります!
服飾専門学校のニットデザイン科に通っていまして、漠然とデザイナーになりたいな、と思いながら学生生活を過ごしていました。
でも、いざ就職となったときに、たくさんのブランドと関われる仕事ってなんだろう……と考えるようになったんです。
そこから、学校の紹介で丸安毛糸の存在を知り、
糸屋さんっていう仕事は、ファッションに関するいろんなジャンルの人と触れ合う機会が多いことがわかり、「糸の仕事がしてみたい!」と思うようになり、入社させていただきました。
入社から編地ひとすじ佐野貢士!!
社長:
新卒で入ってから、ここまで長く働き続けられた理由って何だろう?
佐野:
丸安毛糸が新しいチャレンジができる場である、からだと思っています。
それと、誤解を恐れずに言うと、「乗っかりたいな」という意識もあります。
社長:
乗っかる?
佐野:
このチャレンジできる環境に乗っかって、自分に何ができるかのかをいつも探せる、という感じです。
毎年何かしら新しいチャレンジをしてるかな、とは思います。
あとは気合いと根性です。
社長:
気合いと根性(笑)。
佐野:
会社から「あなたはこれやりなさい」みたいなことはそんなにないので、自分で「これやってみたいです」と言えないと難しいかな、と思います。
そういう部分での気合いと、やり続ける根性は必要なんじゃないかなと思っています。
社長:
環境は会社に与えてもらう部分もあるけれど、それを実際にやり切るとか、成果を出すという時には、気合いと根性が必要とされるもんね。
佐野:
良い環境を与えていただいている分、厳しい会社だとも思います。
社長:
入社してすぐの頃から、今みたいな考え方をできたわけではないでしょ?
佐野:
はい。
あの、とっても恥ずかしいのですが、ニットデザイン科にいたのに、編み物と糸に対しての見識というのが全然足りていなかったのです。
入社直後は、編地(あみじ)のことも何も理解していなくて。
先輩方からも「何事もちゃんと理解してから仕事をしなさい」というのをずっと口酸っぱく言われていました。
そこで、仕事をしながら勉強を始めました。
社長:
入社してから、糸や編地について改めて勉強を始めたんだね。
当時、うちで一番、編地について詳しかったのは誰だった?
佐野:
圧倒的に大久保さんと松井さんですね。
お二人に何かを提出する時は、いつも緊張してました(笑)
当時の先輩方がいろいろな開発をされていく中で、自分も編地への理解が深まっていって、ステップアップできたと思います。
社長:
社外の人ともいろいろコミュニケーションをとっていたよね?
佐野:
はい。
仕事をさせてもらっていたニット工場の営業さんとか社長さんに直接、
「この編地について教えてください!」みたいな感じで、コミュニケーションを取り始めたんです。
そうすると、いろいろなアパレルブランドさんからも、
編地を一緒に開発してほしいとか、こういうことをやりたいんだけど、というニュアンスを投げてもらって、
それを形にしてお戻しする、という過程を経験できるようになりました。
そうしているうちにニットへの理解が段々と深まっていって、いつしか自分でもテキスタイル開発というのが少しずつできるようになりました。
今でも「お客様と一緒に考える」というのは僕の基本のスタンスです。
社長:
最近は、アパレルブランドさんからも、頼りにされているよね。
佐野:
ありがたいことに「こんなイメージがあるんだけど」といったご相談をいただくのですが、ややこしいものも多く…(笑)
でも、だからこそ僕に依頼をいただいたのだと思いますので、一緒に開発していく過程が難しくもあり、やりがいもたくさんあります。
社長:
そういえば、佐野くんは以前、読売中高生新聞に取材されたんだよね。
自分の仕事を紹介するページで。
佐野さんが掲載された「読売中高生新聞」
佐野:
そうなんです。
「毛糸専門商社社員になるには」とありますが、中高生でなりたい人いるんだろうか?と思いながら(笑)
社長からは、
「こんな内容じゃ、うちの仕事の良さが全然伝わらないよ」
と言われちゃいましたが。
社長:
そうだっけ?
全然記憶にないなぁ(笑)
27歳の佐野さん、若い!
思わず見比べちゃう。髪形はこの頃もクルクルヘアー。
社長:
佐野くんは、人前で喋る仕事も結構やっているんだよね。
佐野:
はい。
母校でも講師のようなことをしていますし、社内でもお客様を呼んで、セミナーのようなものを何度も開催させていただいています。
セミナーでは、実際に編む機械を何台も用意して、どういう仕組みで編地が作られるか……のようなことを話しています。
アパレル専門の転職サイト主催のイベントでも、セミナーを開催したことがあります。
社長:
あとは、うちの「教えてターさん」でも、佐野くんがインタビュアーやっているんだよね。
佐野:
はい。1回目からやらせていただいています。
田崎さんは勤続44年の大ベテランなので、すごく勉強になります!
社長:
入社当時はまだ知識が足りなかったけど、いろいろ学んだり、たくさんの人と仕事を通じて関わる中で、だいぶ自信もついてきたのかな。
佐野:
そうですね。でもまだまだ課題がたくさんありました。
例えば、僕たちの仕事は、編地(あみじ)の値段の出し方もすごく重要で。
編むのに時間がかかるほど価格は高くなるので、こだわればこだわるほど編む時間が長くかかり、
ものすごく高い商品になってしまいます。
ですから、まだ編地について知識が浅かった頃は、いろいろ盛り込み過ぎて
「こんなの商品にならないよ!」という値段になってしまうことがありました。
社長:
製造工場では編み時間というのを計算するんだけど、複雑なものはすごく時間がかかるんだよね。
そうすると、どうしても工賃が高くなる。
ただ時間をかけていいものを作っても、高すぎて商売にならなかったら意味がないからね。
佐野:
失敗からたくさん学びました。
価格と生産効率のバランスを踏まえて、どう提案していくか、というのはいつもチャレンジです。
でもそのバランスが僕たちに一番求められていることだと思うので、よりよいクオリティを目指しています。
佐野:
たとえば、買う方にしてみたら「オリジナリティあって素敵だな」と思える商品でも、
編む方にしてみたら「意外と普通のセーター作るのと同じくらいの感覚で作れるよ」みたいなバランスをずっと求めています。
社長:
買い手と作り手の、どちらも満足できるバランスね。
佐野:
あとは、僕たちの作る商品は必ずブランドというフィルターを通すので、
ちゃんとそのブランドの顧客に納得してもらえるかどうか、という点は常に意識しています。
「編地の設計図」
このような指示をもとに編地は作られていくのです。
完成した編地
社長:
ここで佐野くんの、ニットと異業種とのコラボ話を聞かせてもらおうかな。
そもそも、この企画をやろうと思ったきっかけはなんだったの?
佐野:
いろいろニットが面白くなってきたときに、自分が面白いと感じたニットというものを、別の好きなことにも広げられないかな、と思ったんです。
で、自分はロックンロールが大好きなので、
ロックンロールとニットで何ができるかって考えるようになったのです。
社長:
いいねえ。
ニットとロックンロール!
佐野:
とりあえず、ある好きなアーティストさんのいるところに飛び込んでみよう、と決意して。
たまたまその方の所属しているレコード会社に知り合いがいたので、担当の方を紹介していただきました。
「これこれこういう、ニットの仕事をやってる者なんですけど、何かお仕事できればと思っているので、1回お会いできませんか?」みたいな感じで。
社長:
すごい行動力だよね。
佐野:
もう、当たって砕けろ!でした(笑)。
でも、音楽を作っている会社だから、「洋服を持ってこられてもねぇ…」という感じだったんですよ、最初。
社長:
そりゃそうだ(笑)
佐野:
ですから、ライブグッズなどの小物をニットで作れないかという切り口で、部署の方とお会いしてお話することができました。
僕は、海外のミュージシャンにもたくさん影響を受けてきているので、そんな方たちの音楽や生き様からもインスパイアされてテキスタイルを開発してます!といったことも話したんです。
佐野さんが描いた大好きなミュージシャンたち。多才です♪
佐野:
そうしたら、とても面白がってくださいまして。
話が盛り上がってきたところに、ちょうど私の好きなアーティストの関係者が通りかかって、
僕の持っていたニットの見本を見て「彼に合いそうなニットだね」と言って下さったんです。
社長:
運命的な出会い!!
佐野:
そうなんです!もう舞い上がりました!
夢見心地というか、本当にこんなことあるのかな、嘘なんじゃないかな……みたいな。
しかも。
海外に撮影に行くからそれまでにサンプルを用意してくれたら、その撮影にも持って行ってあげるよ、という話になっちゃったんです。
そうしたら、ご本人がすごくそのニットを気に入ってくださって、撮影にも使っていただけたんです。
CDに入っている写真集で、企画提案したニットを着用してくださいました。
アーティストの著作権・肖像権の関係上、お名前やニットなどをここで公表することができません…。大変、申し訳ありません。
社長:
佐野くんの情熱で、丸安毛糸のニットが採用されたんだね。
成功の秘訣はなんだったと思う?
佐野:
僕はファッション業界しか知らないし、音楽業界の方々がどれぐらい向き合ってくださるか、まったくの未知数だったんです。
ですから、不安しかなかったのですが、すごいチャンスだから、とにかく一生懸命ヒアリングして、まずは、
「次にまたお会いできるように頑張ろう!」
と、思考を切り替えたのが良かったのかなと思っています。
社長:
ひとつずつ、誠意と努力を積み重ねた結果だね。
佐野:
自分がずっと好きだったロックンロールと、これまでやり続けてきた丸安毛糸での仕事が合致して、
その結果、たくさんの方に喜んでいただけた瞬間だったので、もう最高に嬉しかったです。
こういう瞬間をいつも味わっていたい、
という目標を持つことが、仕事のやりがいだと思えるようになりました。
そこからチャレンジ精神も、もっと育っていったと思います。
あたって砕けろ!のチャレンジ精神が成功の秘訣。
編地LOVE!
社長:
しかも、このご縁がもっと続いていくんだよね。
佐野:
はい!
なんと、プロモーションビデオでもそのニットを着てくださって。
そこから「グッズ化しよう」というお話をいただいて、
オリジナルのカーディガンを一緒に開発して、受注生産という形で販売しました。
そこからいろいろ良くしてくださって、引き続き新しい企画を何度かいただいたり、
別のアーティストさん向けのお仕事も、いくつかいただいてる状態です。
社長:
これはもう、佐野くんのロックンロールへの愛と、ニット愛の賜物だね。
ところで、その大好きなアーティストには会えたの?
佐野:
会えました!
でも……
実は、もう会わないでいいと思っています。
社長:
え!!なんで??
社長:
ご本人には、もう直接会いたくないの?
佐野:
そうなんです。
実は、一度ご挨拶をさせていただく機会があったのですが……
社長:
うんうん。
佐野:
イメージ通りで、もうかっこよすぎちゃって…
自分、舞い上がり過ぎました!!(笑)
社長:
なんだ(笑)
いちファンとして感動し過ぎちゃったんだね。
佐野:
やっぱり、一番憧れてる人って簡単に会っちゃいけないな……と思ってしまったんです。
もちろん、仕事は仕事としてこれからもしっかりやらせていただいて、ご本人はもうずっと遠い存在のままがいいな、と思いました。
社長:
仕事と、ファンとして応援する気持ちを、しっかり区別する感じかな。
佐野:
はい。
昨日もレコード会社の方から、
「こういうグッズを作ろうと思ってるんだけど、佐野くんどう思う?」
といった、僕が全く関っていない企画のことでメールがあったりして、
こんな風に頼りにされて、お声掛けされることがすごく嬉しいので、これからも精一杯取り組んでいきます。
熱く語る佐野さん
熱い話に聞き入る岡崎社長
社長:
頼りにされていると言えば、佐野くんはニット工場の方たちからもすごく頼りにされているよね。
佐野:
そうかもしれないですね。
ありがたいことに、「ちょっと佐野くん、相談にのってくれる?」
みたいなご連絡をよくいただきます。
社長:
ではここからは、佐野くんとニット工場の関りについて話を聞かせてもらいます。
今は、新潟の工場との関係が深いよね?
「なぜ新潟なのか?」などといったことについて、これを読んでくれている人にも伝わるように話してください。
佐野:
はい。
日本国内のニット工場が一番多く集まっているのが、新潟県なんです。
僕たちニット業界のあるあるなんですけれど、営業マン1人につき、
通常はブランドごとに担当を持つのですが、
工場になりますと、産地担当みたいな言い方をして、地域ごとに担当を持つのです。
社長:
で、佐野くんは新潟担当になったと。
初めの頃はどんな感じだった?
佐野:
初めて新潟に行ったときは、もう本当に「連れてきてもらった」くらいの感覚でした。
でも、丸安毛糸の社風が、
「自分の得意なことや個性をどんどん発揮していこう」
という感じなので、
まずは、ニット工場に顔を売ることに必死になってました。
最初のうちは、先輩のアシスタントとして動くことが多かったのですが、
先輩がいない時に、2番手として頼ってもらうにはどうしたらいいんだろう……と思って、
工場の方たちと、コミュニケーションをとり続けてきたのが、スタート地点です。
今ではとても親しくさせていただいています。
新潟工場の方と休憩中に仲良く羽根つき!!
新潟工場での作業風景
ニッターのみなさん、いつもありがとうございます
社長:
うちは自社工場を持っていないので、国内外問わずいろんな工場に協力をしていただいているけど、新潟の工場が圧倒的に多いんだよね。
だから、新潟工場との関係性はすごく重要。
そして、新潟でも展示会を始めたんだんだよね?
佐野:
はい。
「糸を売る」という意味では、ニット工場は私達のお客様になります。
アパレルブランドと一緒に企画した糸を、買ってくださるのはニット工場ですから。
そして、ニット工場で製品になったものはアパレルブランドが購入していくことになります。
つまり、糸事業から見たらニット工場はお客様なんですけど、
製品事業から見たら、仕入れ先になるんですよね。
ですから、糸と製品と合同で、アパレルブランド向けに、新潟工場で展示会をすればいいのではないか、というのが出発点です。
展示会をスタートさせたのが十数年前で、今では、春夏物と秋冬物の展示会、という形で年に2回開催しています。
新潟展示会の様子
展示会の良さは、直接会って話ができること。
社長:
実際に製造している工場で展示会をすることで、
作り手である工場と、買い手であるブランドが、直接話ができるのがいいよね。
佐野:
ブランドの方に、糸を直接見てもらうことで、今回作ったこの編地はどこを改良したかとか、もっとこうしたらどうかなどといった、直接での意見交換もできるので、
さらに開発をスピーディーに進めて具体化することができます。
開催地は五泉(ごせん)という、新潟市から車で50分程度の場所なのですが、それでも1〜2時間かけて来てくださる方もいて、
毎年、15~16社くらい参加してくださいます。
社長:
当日参加できないところには、後から東京に出張で来てくださった時に、個別でプレゼンもしているよね。
佐野:
そうですね。
ですから、展示会に来れないことがあっても、ほとんどの工場とつながりを持てています。
社長:
では、新潟の展示会は、どんな感じでおこなわれているのかを話してもらえる?
佐野:
ひとことで言えば、『商談かつ作戦会議』です。
ニット工場が、顧客であるアパレルブランドに、次のシーズンに企画するものを提案する、というのが展示会の目的なんですけれども。
去年、こちらのお客様はこういう業績だったとか、
こういうアイテムがヒットしたとか、
いいと思ったものがあまり売れなかったとか、
過去の情報を元に、今のトレンドも合わせて次の企画を提案します。
社長:
表参道の展示会だと、アパレルだけが対象だけれども、
新潟では、工場とアパレルとが情報交換をしながら作戦会議をして、
顧客に刺さるものを一緒に作って売っていきましょう、という感じだよね。
佐野:
そうですね。
これだったらこんな編地(あみじ)がいいんじゃないでしょうか、じゃあ作ってみます!みたいな。
それでサンプル作って、これで買わせていただきます、のような会話が生まれるのが、ベーシックな流れです。
社長:
作戦会議ができて、それで商談が成立すれば、
うちも糸が売れて嬉しいし、
工場もたくさん生産できて嬉しい、
アパレルもいいものが作れて嬉しい、
というWin-Win…どころか、三方よしが実現するのがこの新潟展示会の良さだね。
作戦会議中
新潟名物「へぎそば」。とってもおいしい♪
社長:
いま、新潟には年に何回くらい行っているの?
佐野:
展示会2回の他にも、工場の方とコミュニケーションを取るために、あと2回は行くので、少なくても年4回は行ってます。
営業スタッフも含めて3~4人で行きます。
僕も、新潟に行くとプレゼンばかりしているわけではなく、先輩の営業スタッフと一緒に、
「この編地はこのような状態になっているので、糸の使い方としてすごくいいと思います」
のような、アシスタント的な立場でアドバイスもお伝えしますし、いろいろ立ち回っています。
社長:
ただ、買ってください、で終わりではなく、コミュニケーションを取りながらいいお付き合いができている、という感じだね。
佐野:
はい。
それが目指すところではありますし、そのレベルを上げていきたいと思っています。
新潟のニット工場さんの受付にて、丸安毛糸の糸を使って作成された「あみぐるみ」を発見♪
編地づくりを実体験する丸安毛糸の李さん
社長:
うちで開催しているニットセミナーにも、新潟工場の方々が参加してくださるよね。
佐野:
他のエリアの工場で作られた編地なども見られますからね。
社長:
イタリア展示会で展示する編地を、新潟のニッターさんにお願いするんだけど、
すぐに利益につながるような案件ではないにも関わらず、
「いい勉強になるし、新しいアイディアにつながります」と快く取り組んでくださるよね。
佐野:
はい。
すごく協力していただいています。
工場を持たない丸安毛糸のスタッフにとっては、
工場の全てが学びです♪
社長:
ふと思ったんだけど、アパレルさんとニッターさんは、同じプレゼンをしても、選ぶものは違うのかな?
何か、見方の違いとか感じる?
佐野:
視点は違いますし、出てくる質問も違いますね。
アパレルの方の多くは、編み方よりも、
見え方や肌触り、雰囲気がちゃんとイメージにマッチしているかどうかなど、ファッション性が一番重要なんです。
一方、ニッターさんは、それをニット工場でいかにロスなくミスなく、生産効率よく作れるか、という目線でご覧になります。
ですから、アパレルがやりたいと思うデザインがあっても、「これ、うちの工場だと厳しいです…」みたいなことも結構あります。
社長:
最初の方の話にも出てきたけど、やっぱりクオリティと生産効率をバランスよく進めるというのが一番重要になってくると。
佐野:
それをスムーズに進める役割が、僕たち丸安毛糸だと思っています。
このような依頼書をニッターさん(ニット工場)に提出して、
編地は作られていきます。
社長:
佐野くんが、新潟工場と一緒に仕事をしていくなかで、一番大切にしているのはどんなこと?
佐野:
アイディアがもっと広がっていくように、ニット全般の知識を増やしていくことは当たり前なのですが、
最近すごく思うのが、「この編地をやりたい!」と思いついた時に喜んで協力してくれる関係性を、ニッターさんと日頃から築いておくことが大切だと思っています。
実際に編んでくださる方々が、僕たちにやってもらって嬉しいことはなんだろう…と考えるとか、
そういう人間関係作りも大切にしています。
社長:
もの作りの基本は、まずは人間関係の構築から、ということだね。
これからも、新潟といい仕事ができるよう、期待しています!
話は変わるけど……
僕は、佐野くんの結婚式に招待していただいたんだけど、
そこで佐野くんのさらなる才能について、ちょっとスピーチしたんだよね。
佐野:
あ…はい(苦笑)
社長:
僕は佐野くんの結婚式に、主賓として招いていただいたんだけど、
その時のスピーチの内容って覚えているかな?
佐野:
はい、もちろん覚えています(笑)
社長:
こんな感じだったと思うんだけど、
「佐野くんは本当に多才で、
プロとしてバックダンサーを務めていたこともあり、
しかも歌もギターもすごくうまくて、
さらにイラストを描かせたらプロレベル!
会社のDMのイラストも、彼に描いてもらっているのです。
そんな多才な佐野くん。
一番不得意なのは、糸を売ることなんじゃないかと思ってます」
って思わずスピーチしちゃった(笑)
佐野:
おいおい、仕事が一番へたくそなのかよ、って(笑)
すごくウケました。
社長:
それくらい、本当に何でもできちゃうのよ。
佐野くんは。
多芸多才で素晴らしいってことを表現したかったんだよね。
あのときは大変失礼しました(笑)
佐野:
いえいえ(笑)
とても、ありがたかったです。
佐野さんが描いたローリングストーンズをはじめ大好きなロックスターたち
このポールマッカートニーも佐野さんが描いたもの
社長:
今回改めていろいろ話を聞かせてもらったけど、
僕が思う佐野くんのいいところは、このような多芸多才なところはもちろんなんだけど、それと面倒見がいいところだと思ってるんだよね。
後輩にも取引先にも、上下関係なく面倒見がいい。
僕にはここまでできないなぁ、と思う。
そんなに優しい人間じゃないしさ。
佐野:
はい。
あ、はいって言っちゃった(笑)
ありがとうございます。
社長:
僕は、そんなにいろいろな人に愛は配れないんだけど(笑)
佐野くんはそういうことを面倒くさがらすにしっかりやれる。
しかも仕事もプライベートも関係なくね。
あと、アーティストとのコラボに関しても、自ら動こうと思えるモチベーションがすごい。
僕はずっと「ニット×何か」の面白いことをやろう、といろいろなスタッフに言い続けていて。
だって、糸を見せて編地(あみじ)を見せて製品を見せて……だけの商売じゃつまんないじゃん、と思うんだよ。
佐野:
はい、そう思います。
社長:
佐野くんは、大好きなロックンロール×ニットを実現したのが、僕もすごく嬉しかったんだよね。
でも、他にそのようなことを実現できた人がたくさんいるかと言えば、そうでもない。
うちは個性の強い社員が多いから、それぞれが、
自分はどうやったら会社に貢献できるのかな、と考えてくれるので、
僕は会社として、それを引っ張り出す手伝いはしてあげたい、といつも思っているんだよね。
佐野:
やりたいことにチャレンジできる場を与えていただき、本当に感謝しています。
でも、仕事がまだまだトップレベルではない、という自覚はあるんです。
営業もやっていますが、売り上げのことや数字のことなど考えると、
まだまだ僕なんかよりもすごい営業マンは、会社にはたくさんいるので。
社長:
なるほど。
営業としてはまだまだ発展途上だと。
佐野:
その代わりに、みんなが仕事しやすい環境は、僕がうまく作れるんじゃないかな、と思っています。
それが、もの作りの部分で会社に貢献したい、という部分ですね。
社長:
佐野くんは編地に特化して頑張ってきたので、もう編地は佐野に任せよう!という雰囲気が社内にもあるよ。
営業はまだ勉強中かもしれないけれども、このポジションを確立したのはすごいと思う。
佐野:
ありがとうございます!
佐野さんのイラストから作った、岡崎社長還暦祝いニット!
細部までこだわりました。
社長:
最後に、今後やってみたいことを聞かせてもらおうかな。
佐野:
叶わないとは思うのですが、ニット工場にニッターとして修行に行ってみたいですね。
社長:
え??どういうこと?
佐野:
僕は編地の構造は理解しているつもりなんですけれども、実際に機械を動かせるわけではないんです。
工場でもっとスムーズにたくさんの編地を作れる環境にするには、
丸安毛糸の一員として、もっと理解を深めなきゃいけない、と思っています。
そこの先頭になるためには、ざっくり言葉にすると、ニッター修行をする、に行きつくんです。
もちろん、そんなに簡単に実現できることではありませんが。
社長:
それは頼もしいなあ。
佐野:
社内での、編地に対しての理解の底上げもしたいと思っているので、今、後輩たちと一緒にいろいろやっています。
社長:
今回、ずっと話を聞いて感じたんだけれども、佐野くんは本当に編地が好きだよね。
編地の良さとか楽しさとかは、どんなところだろう?
佐野:
個人的には、無限じゃないところっていうか、制限がめちゃくちゃあるところが面白いんですよ。
社長:
ほー!
佐野:
編むという作業では、できることって限られてるんですけど、
それをどう組み合わせるかがすごく面白くて。
うっかり0点にもなっちゃうし100点にもなっちゃう、みたいなのが。
その原因が、糸や機械の種類、編み方のバランスなど、
やれることは少ないはずなのに、組み合わせを失敗するととんでもないことになる……みたいな部分です。
そこで解決策をみつけたり、
めちゃくちゃ簡単なことなのに誰も思いつかなかっただろうな、みたいなひらめきを持てたりした時は、
すごく面白いですね。
社長:
なるほどね。
今回、佐野くんと話ができてすごく面白かった!
たくさんの話を聞かせてもらって、ありがとうございました。
佐野くんは髪形も特徴があるし、1回会ったら忘れないよね(笑)
それも君の武器だと思うよ。
佐野:
ありがとうございます(笑)
(終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました)
今回の記事はいかがでしたか。あるがままの私たちを知ってもらえれば幸いです。
丸安毛糸は『世界中のニットを愛する人たちが集う会社』です。私たちは、ニットを愛し、新たな挑戦に立ち向かい、未来を切り拓いていく仲間を募集しています。
会社説明会開催情報や募集要項、エントリー方法など、採用情報ページでご確認ください。