ワン ピンヤ汪 品雅
素材部 企画部門/2022年入社
台湾と日本で6年間、テキスタイルデザインを専攻。丸安毛糸のブログでサスティナブルな素材に関する記事を見て、入社。素材作りを通じて環境問題を考え、日々の仕事に取り組む。
丸安毛糸のあるがまま
本投稿は note.com にて 2023年9月8日から10月4日まで、全5回に渡って連載されたものをまとめた記事になります。
はじめに
丸安毛糸では、イタリア・フィレンツェで年2回開催されている世界最大規模の糸の見本市「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」に2017年から出展しています。2023年1月に開催された春夏の展示会に続き、7月に開催された秋冬の展示会にも出展しました。今年2回目の出展のためイタリアに行ってきた、素材部の汪(ワン)さんと李(リー)さんに展示会の感想や、現地での出来事を岡崎社長がインタビューしました。
「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」とは?
Pitti Filatiは、イタリアのフィレンツェで年2回開催される、糸や編み物の国際展示会。世界中のデザイナーやバイヤーが集まり、最新のトレンドを発信するとともに、製品や技術に関する情報交換の場として注目を集める。
ワン ピンヤ汪 品雅
素材部 企画部門/2022年入社
台湾と日本で6年間、テキスタイルデザインを専攻。丸安毛糸のブログでサスティナブルな素材に関する記事を見て、入社。素材作りを通じて環境問題を考え、日々の仕事に取り組む。
リー マヤ李 マヤ
素材部 企画部門/2022年12月入社
イギリスでテキスタイルデザイン科のニットを専攻。グローバルな視点と糸に対しての専門性にひかれて丸安毛糸に入社。海外で学んだ「枠にはまらない視点」を活かし、MONTELUCEの糸がインスピレーションになるように日々取り組む。
社長:
今年(2023年)はコロナ禍以来、3年ぶりに「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」への出展を再開することが叶いました。前回の出展(2023年1月の春夏展示会)に続いて、今年7月は秋冬コレクションの展示会にも参加。社内から5名の社員たちがピッティ・フィラーティ出展のため、イタリアへ向かいました。
今回は、イタリア出張へ行ったメンバーの中から、汪さんと李さんに展示会の様子、現地で体験したこと、珍道中など聞いてみたいと思います。
▶︎ 前回のイタリア出張(2023年1月)の記事は、こちらからお読みいただけます。
汪・李:
よろしくお願いします!
社長:
汪さんは前回のイタリア出張の対談にも参加してくれました。台湾出身で、2022年に丸安毛糸へ入社して、素材部 企画部門でがんばってくれています。
そして、私のブログ初登場の李さんの紹介をしたいと思います。
李さんはシンガポール出身で、2022年12月に丸安毛糸に入社しました。イギリスでテキスタイルを学んだ経験があり、汪さんと同じように社内にグローバルな視点を与えてくれています。
李:
ありがとうございます。
私はイギリス・ロンドンにある芸術大学の一つ「Central Saint Martins(セントラル・セント・マーチンズ)」でテキスタイルを学び、大学卒業後に日本のものづくりにもっと深く関わりたいと思い丸安毛糸に入社しました。
汪さんと同じ素材部に所属して、糸を創る現場を視察したり、私たちの糸を作る側、使う側双方を考えたコレクションの企画や制作に携わっています。
今回のイタリア出張は、入社して初めての海外出張。イタリアはずっと行ってみたかった場所で、初めてイタリアへ行けて、とても嬉しかったです!
社長:
おおっ!頼もしいね。
丸安毛糸として「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」への出展は今回で8年目で、汪さんは2回目の参加、李さんは初めての参加です。
前回の「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」では、会場設営のトラブルがあって、直前までヒヤヒヤして乗り切った話を聞きました。今回の設営や準備は大丈夫だった?
汪:
設営トラブルはなくて、順調に設営できました!じつは前回よりも多く製品を持っていったのですが、設営トラブルがなかったおかげで、スムーズに準備出来たんです。地元のイタリア企業のブース準備は、相変わらず大らか。私たちと比べるとマイペースな様子でしたね。
汪:
私たちのブースは前回と同じように、商談スペースはオープンな感じに。他社のブースは製品は置かず、編み地やブック(シーズンごとに用意している商品カタログ(小冊子))しか置いていないところも多く見られましたが、うちは糸を製品化するところまでイメージできるディスプレイを準備できて、他社とうまく差別化できたと思います。
社長:
私が以前、「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」へ行っていた時、ほかの出展企業の商談ブースは個別に囲ってあって狭い印象がしたなぁ。うちのブースは、バーンっとオープンな感じで良いよね。
汪:
ありがとうございます。
今回は新規のお客様たちに、私たち丸安毛糸の糸のオリジナルブランド「MONTELUCE(モンテルーチェ)」をもっと紹介したいと思って、ビジュアル(商品を購入したくなるような売場環境を視覚的表現を中心とした多様な演出)の準備に力を入れていたんです。
「MONTELUCE(モンテルーチェ)」とは?
丸安毛糸が展開する糸のオリジナルブランド。ブランド名はイタリア語の「モンテ(山)」と「ルーチェ(光)」からなり、糸に触れることで、ひらめきや感動を感じて欲しいという想いが込められている。
社長:
例えばどんな準備をしたの?
汪:
今回のビジュアルのテーマは「elevating materials(素材を活かす)」。
まずは、ブースを装飾するための和紙を作りました。ただの和紙とは違って、糸の素材である綿・ウール・シルク・竹・リネン・ポリエステルを原料に、手漉き和紙を作ったんです。
手漉きに使う道具はホームセンターで準備。本社屋上で紙をすいて、乾燥させて手作りしました。
社長:
なるほど。「素材を活かす」がテーマだから、いろんな素材を使ったんだね。
▶︎ 制作の様子は、動画でご覧いただけます
李:
あとは今シーズンに向けて、新しいリーフレットを準備しました。お客様が持ち帰りやすいようにバッグに入るサイズにしたり、後ろのページには資料が入るポケットをつけて、お渡しした資料や説明書が入れやすいように工夫しました。
汪:
「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」へいらっしゃる既存のお客様に向けて、リーフレットを編集した「オンライン招待状」をメールで送ったりして、会場に来ていただく準備もしましたね。
▶︎ お客様へお送りした「プロローグ」
社長:
いろいろ準備したんだね!
お客様の反応はどうだった?
汪:
前回よりも多くのお客様が来てくださって、事前に商談を予約してくれるお客様も多かったです!新規のお客様との出会いもありましたね。
社長:
「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」の楽しみの一つは、なんといっても全出展社が勢ぞろいする展示コーナー。毎年、共通のテーマ(お題)に合わせて、自社の糸を使った展示作品を飾ります。この会場には、糸のトップメーカーが集まっているし、これを目当てに世界中からニットメーカーやデザイナーが集まるため、毎年見応えがあるんです。
前回は「アルファベット」がテーマでした。今年はどうだった?
汪:
今回は「チェス」がテーマです。
この展示は、事前にテーマが送られてきて、日本で準備したものを送ってテーマ展示に置いていただきます。
社長:
お客様はここを見て、印象に残った企業のブースに足を運んだりするんだよな!
汪:
私が準備を担当したのですが、前回に比べると、自分でも満足できる仕上がりになったと感じました。色がきれいで良かったです。
社長:
李さんは初めて会場へ行ってみてどうだった?
李:
「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」は学生の頃からずっと行きたかった場所。すごく嬉しかったです!
会場はカラフルだし、イタリアの人たちの服装もカラフルでしたね。今回は7月だったこともあって、会場に集まる人たちの夏らしいカジュアルな服装が印象にのこりました。
私たちのブースの制服は黒で統一していたんですが、現地の方から「それユニフォームなんですか?」って声をかけられて驚きました。日本では黒い洋服を着ていても目立ちませんが、カラフルな服装の多いイタリアでは珍しいみたいです。
汪:
展示品が主役ですので、その色を目立たせるために、私たちは裏方という意味を込めて黒のユニフォームにしているんですよね。
社長:
そうか!そういうフィードバックも面白いね。
ほかに印象に残ったことはある?
汪:
イタリアの大手糸メーカー「MILLEFILI(ミレフィリ)」が主催したパーティーへ行ったことです。2年に一度、展示会の後に開催されるパーティで、美味しい食事や飲み物がたくさんあって、舞台ではピアノ演奏といったショーが開かれます。展示会関係者が約2,000人集まるような大きなパーティーなんです。敷地内の噴水がとっても大きくておしゃれでした!
汪:
とても面白かったです!
社長:
へ〜!いいなぁ〜!!
社長:
展示会の出展ためにイタリアに行ってもらったけど、展示会以外のイタリアの思い出などを少し紹介してください。
今回泊まったホテルはどうだった?丸安毛糸のメンバーが滞在したフィレンツェは、人気観光地。ちなみに、3〜10月の観光シーズンは、日本のビジネスホテルのような広さのホテルでも約3万円くらいが相場なんです。
汪:
初めて泊まったホテルでしたが、1人ずつ部屋の仕様が違っていたんです。私の部屋はとても古い趣で、電気がつかなかったんです(苦笑)みんなはダブルベッドなのに、私だけシングルベッドだったり。不思議なホテルでした。
李:
私の部屋だけトイレットペーパーホルダーが金属製で、トイレットペーパーを使うたびに、ギザギザの部分が手に当たって、めっちゃ痛かったです(笑)
社長:
それは変わったホテルだね〜(笑)
フィレンツェで観光は出来た?
汪:
はい。フィレンツェの観光名所の一つ、高級ブランド「GUCCI(グッチ)」の美術館「GUCCI Garden(グッチガーデン)」へ行きました。
グッチの創設当時のアイテムから現在までの幅広い展示物を見ることができて、とてもおしゃれで、まさに“映えスポット”でした。
李:
ほかには、「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」にも行きました!
1221年に創業し、現存する世界最古の薬局の一つと言われているんです。香水やポプリ、基礎化粧品などたくさんあって目移りしました♪
社長:
お〜いいね〜!私も「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」は好きで、丸安毛糸本社にはここのポプリを置いてるんだよ。10年ぐらい前にイタリアへ行った時、このポプリの香りを会社にも置きたい!って思って。いつも同じ香りを使用することで、「この香り」=「このお店」といったようにブランディングに活用することができるからね。
李:
そうなんですね。このポプリは時間が経つと、漢方のような香りがしてそれも良いですよね!
社長:
海外出張の話を聞いていて、一番気になるのは現地の食事の話です!
イタリアへ初めて行った李さん、食事はどうだった?
李:
全部おいしかったです!
機内食もおいしかったですし、イタリアの食事は全ておいしかったですね。
初日に「ビステッカ(イタリア語でビーフステーキのこと)」を食べに行ったんですが、そこのデザートのレベルがとっても高かったんです!
たくさんデザートをのせたカートが私たちのテーブルまで来てくれて、4種類のデザートを選んで食べました。イタリア生まれのデザート「ティラミス」もあって、とてもおいしかったです。
社長:
前回のイタリア出張で、汪さんは「ジェラートがおいしかった!」と熱く話してくれたけど、今回も食べに行ったの?
汪:
もちろん行きました!
今回の出張では、新しく見つけたお店を2つ開拓してきました。
まず1つめは、「Edoardo(エドアルド)」。このお店はイタリア・トスカーナで初めてオーガニック認証をもらったオーガニックジェラート屋さん。添加物、着色料、保存料、乳化剤が入ってないのはもちろん、原材料の生産においても化学肥料、農薬を一切使用していないのだそうです。
汪:
あともう1つは、「La Gelatiara(ラ・ジェラート)」。先ほど紹介した「エドアルド」と同じ、ナチュラルな素材にこだわったオーガニックジェラートのお店です。私はこのお店をとても気に入って、今回の出張中に2回も通いました。
社長:
ジェラートで好きな味(フレーバー)はあるの?
汪:
ピスタチオが好きです♪
社長:
前回もピスタチオがおすすめって言ってたよね!
2人ともイタリア料理、デザートを堪能したみたいだね♪
社長:
イタリア出張の最終日、予期しないハプニングがあったと言ってたけど、一体なにが起こったの?
李:
ホテルをチェックアウトして、空港へ向かう前に買い物をしていたんです。その時に、汪さんの財布が盗まれてしまったんです…
汪:
はい…。エコバッグの中に財布を入れて、行列に並んでいた時、スリにあってしまいました。財布の中にはお金、クレジットカード、免許証、帰国に必要な書類も入れてありました…
社長:
えぇーーーーっ!!
李:
帰りのフライト時間が迫る中、これ以上被害が大きくならないように対処しないといけません。空港へ向かうタクシーの車中で、みんなで手分けしてクレジットカード会社へ連絡し、利用を停止してもらったり奔走しました。空港へ着いた時は、みんな車酔いしてましたね(汗)
汪:
空港へ着いたら、急いで警察へ行って、帰国に必要な書類を作ってもらいました。手続きが搭乗時間ギリギリまでかかってしまって、私だけ帰ることが出来ないかもしれない…と思いました。李さんが親身になって警察とのやりとりを手伝ってくれたんです。
社長:
大変だったね!
じつはその時、淳(丸安毛糸からイタリア出張へ行った男性社員)から緊急電話がかかってきて、「汪さんが帰れないかもしれない」と言われたんだよ。電話の後ろから、李さんが警察と話す一生懸命な声が聞こえてました。それからすぐ、「汪さんも無事飛行機に乗れるようになった!」と連絡があって、搭乗ギリギリだったみたいで電話が切れたんだよね。
2人とも無事、帰ってきてくれて良かったです。
それでは、最後にイタリア出張を振り返ってひと言ずつ感想を聞いてみたいと思います。まずは、李さんからどうぞ。
李:
今回は初めての海外出張で、海外の方に自社の製品をプレゼンすることも初めての経験でした。私は日本語を使うよりも、英語の方が馴染みがあって、自分の想いを表現しやすいんです。今回の出張で英語を使って、私たちの製品や想いをアウトプットすることで、これまで以上に製品への思い入れや理解が深まったと感じます。
李:
あと、一緒にイタリアへ行ったメンバーとは、この展示会を通じてコミュニケーションをとることができました。日本にいると、仕事の話しか出来なかったですが、出張中は一緒に食事をして、仕事以外の雑談を楽しめたり、普段と違う面を知ることも出来ました。とても良い経験をさせていただきました。
社長:
ありがとうございます。
汪さんは前回のイタリア出張後に、「イタリア語を勉強し始めた」と話してましたが、勉強して役立ったりしたことはありましたか?
汪:
出発前に、プレゼンで使えるイタリア語を覚えてたつもりでしたが、現地の方にイメージした通りには伝わらず…(苦笑)まだまだ勉強が必要です。しかし、私がイタリア語を勉強していることを伝えると、お客様と会話が弾むきっかけになりました。次回行く時は、もっと話せるように頑張りたいと思います。
社長:
ありがとう!次回の「Pitti Filati(ピッティ・フィラーティ)」は2024年1月!
2人とも引き続き、頑張ってくださいね!
(おわりです。最後までお読みいただきありがとうございました)
今回の記事はいかがでしたか。あるがままの私たちを知ってもらえれば幸いです。
丸安毛糸は『世界中のニットを愛する人たちが集う会社』です。私たちは、ニットを愛し、新たな挑戦に立ち向かい、未来を切り拓いていく仲間を募集しています。
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