くつざわ たつのり沓澤 龍昇
素材部 営業 セールスプラニングDiv. マネジャー/2019年入社
メンズセレクトショップでの販売を6年経験。その後、丸安毛糸へ入社。素材部に所属し、取引先への糸のプレゼンテーションや納期の管理を担当。フットワークを軽く、お客様からの信頼を大切に、毎日の業務に取り組む。
丸安毛糸のあるがまま
本投稿は note.com にて 2023年8月1日から8月18日まで、全4回に渡って連載されたものをまとめた記事になります。
丸安毛糸では、これまでに2名の男性社員が育休を取得しました。今回はその2人にインタビューして、取得までの経緯や、取得中の生活について、さらには会社に復帰してからの日々のことを話してもらいました。
くつざわ たつのり沓澤 龍昇
素材部 営業 セールスプラニングDiv. マネジャー/2019年入社
メンズセレクトショップでの販売を6年経験。その後、丸安毛糸へ入社。素材部に所属し、取引先への糸のプレゼンテーションや納期の管理を担当。フットワークを軽く、お客様からの信頼を大切に、毎日の業務に取り組む。
ぬかが だいすけ額賀 大輔
製品部 営業企画Div. サブマネージャー/2017年入社
お客様に素材のプレゼンテーションを行い、打ち合わせを続け、一つの企画を立ち上げ、店頭に並ぶまでのコントロール全般など幅広く担当。好きな映画はスペースジャム、好きなアーティストはマイケルジャクソン。
社長:
近年、男性の育児休業・育児休暇取得が注目されています。
男性育休の推進は、大企業のように人がたくさんいるところで実現可能なものであり、我々中小企業にとっては、どこか遠くの理想郷の話のように思っている社長も少なくありません。私自身も実際に2人が育休取得に動き出してくれなければ、同じように非現実的なものといまだに感じていたかもしれません。
今回はお互いにその辺りの迷いや葛藤も含めて、色々と話ができたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
沓澤・額賀:
よろしくお願いします!
社長:
まずは自己紹介と、いつ育休を取得したか教えてください。それぞれの育休エピソードは、後ほど掘り下げて聞いていきましょう。
最初は、丸安毛糸の男性育休取得 第1号の沓澤(くつざわ)くんからどうぞ!
沓澤:
素材部 営業マネージャーの沓澤です。丸安毛糸で創った糸を、ニッターさん(編物業者)、アパレルさん、デザイナーさんにお見せして販売する営業職を担当しています。実際にお客様と接する以外にも、糸を製造する工場、糸を保管する倉庫とスケジュールを組んだり、細かい納期管理の調整も行っています。正確さとスピード、交渉力が求められる業務ですね。
昨年5月に第一子が生まれて、昨年7月から9月末にかけて3ヶ月の育休を取りました。うちは里帰り出産(実家に帰省して出産すること)で、産後1ヶ月で自宅へ戻ってくる予定だったんです。だから、出産予定日から育休を取るよりも、自宅へ戻るタイミングにあわせて育休をもらいました。実家から自宅へ戻ると、奥さんと子供だけになっちゃうので。
社長:
生まれる前から育休取ろうと思ってた?
沓澤:
最初は育休取るつもりはなかったんです。社内に男性育休の前例がなかったですし、3ヶ月も仕事から離れるわけにはいかないと思ってました。しかし、出産が差し迫った時、奥さんの負担が増えるのを目の当たりにして、話し合った末に「育児は2人でする」と決めたんです。
とはいえ、何も考えなしに「育休取らせて下さい」って言って、すんなり「いいよ」とはならないでしょうし。育休のことをしっかり調べて準備して、会社に相談させてもらいましたね。
社長:
ありがとう。
沓澤くんに続いて、今年は額賀(ぬかが)くんが男性育休を取得して、今年のGW明けから仕事復帰しました。それでは、額賀くん、自己紹介をお願いします!
額賀:
私は製品部で営業企画のサブマネージャーをしています。お客様から相談いただいたものを企画提案を行い、実際の製造から完成までをサポートします。ひと言で表すと「お客様の作りたいものを一緒に形にする」のが私たちの仕事です。
社長:
額賀くんの担当業務は、案件にもよるけど、お客様の作りたいものを一緒に探して組み立てるような仕事だから、一つひとつの担当期間が長いよね。
額賀:
そうですね。一社ごとに深く長く関わりますし、お客様とのコミュニケーションが大切な仕事です。
私の育休は子供が生まれる少し前、今年の2月末からGW明けまでの2ヶ月半取らせていただきました。最初は育休を取るつもりはなくて、妻から「育休を取ってほしい」という希望もなかったんです。しかし、妻のお腹が大きくなって胎動を感じるようになると、出産後に私も一緒にいたいという気持ちが大きくなって。うちは里帰り出産はせず、退院後すぐ自宅に戻る予定だったので、その場に私もいることが出来たら幸せだろうなと思ったんです。
社長:
なるほどね。額賀くんは、沓澤くんの前例があったのも育休取るきっかけになった?
額賀:
もちろんありました。正直言うと、男性育休は取りづらい風潮の中で、沓澤さんが先陣切って下さっていたので、真っ先に沓澤さんへ相談しました。
沓澤:
私は育休を取って良かったので、「育休取る気があるなら絶対取った方がいい。その方が後悔しないから」って強めに伝えたんです。
額賀:
とても励まされて、背中を押してもらいました。
▶︎ 男性の育休に取り組む 育児休業制度とは?
詳しくは最新の厚生労働省HPをご覧ください
社長:
丸安毛糸 男性育休 第1号は沓澤くんです。前例のなかった中で、どんな準備をして会社に伝えたの?今だから話せることってある?
沓澤:
私の周りにも男性育休を取った知り合いはいなかったので、主にYouTubeで“育休パパの体験談”を見ていました。そこで気づいたのは、誰一人として「育休を取って失敗した」って後悔してる人がいないということです。育休を取ってない人が多い中で、取ってみないと分からないことにチャレンジする方が、私には価値があると感じて。
ただ、その当時、私の所属する素材部は忙しくて、考えなしに育休を取ると、みんなに迷惑をかけることは目に見えてました。
額賀:
そんな中で、沓澤さんはどんな準備をされたのですか?
沓澤:
いろいろ調べる中で「半育休」といって、育休中でも一時的・臨時的なものに限り、仕事ができることが分かりました。例えば、私の担当するお客様にイレギュラーなトラブルが発生した場合、育休中でも私が対応することができるそうなんです。(※注)2023年6月時点での掲載情報を参考にしました)
▶︎ 詳しくは最新の厚生労働省HPをご覧ください
沓澤:
私の担当業務で起こる「もしも」を想定し、その対応方法をシミュレーションを考えたり、かなり準備をして会社に伝えました。
額賀:
受け入れてもらえたんですか?
沓澤:
はい、育休の話が進みました。すごく嬉しかったです。
社長:
当時の私の心の内では、正直葛藤があったけどね(笑)
この話を受けた時は、人手がいくらでもほしい会社の状況だったし、「休んでる間の仕事どうするの」って真っ先に浮かんだよ。
私は昭和の人間だから、「男は働け」って価値観の中でずっと仕事をしたの。世間でチラチラ「男性育休」って聞くようになってたから、いずれうちの会社も…と思ってたけど、正直言うと「もう(育休取りたいと)来たの!?」って戸惑う感覚が大きかったね(笑)
思わず経営者仲間、私の妻に男性育休のことを聞いてみたり、私なりに調べて考えましたよ。
沓澤:
そうですよね(苦笑)
社長:
決め手になったのは、沓澤くんの直属の上司から「会社の将来にプラスになる取り組みだと思うし、沓澤くんに育休を取らせてあげたいです」と後押しがあったこと。それって素晴らしいなと思ったんだよね。「チームでサポートします」ってことだから、きっとそれなら出来ると思えた。
ちょうどタイミング良く、オンラインを使った業務効率化に力を入れた時だったから、沓澤くんの育休を決めることが出来ました。
沓澤:
ほんとチームの人たちの理解と強力に助けられました。
社長:
だから2人目に額賀くんが育休取る時は、もうそんなにびっくりしないで、育休申請受けましたね。
額賀:
私の時はとてもスムーズに話が進みました。二つ返事でしたね(笑)
うちの会社は子供のいる方が多いし、すでに沓澤さんの前例があったので「男性育休に驚く」ということはなかったです。私よりひと回り上で子供がいる先輩と話した時、「自分の時にこの制度があったら利用したかった」と言われたことがあって、私は良い経験をさせていただけたんだなと感じました。
社長:
沓澤くんは育休中の生活はどんな様子だったの?
沓澤:
昨年5月に里帰り出産で第一子が生まれて、奥さんと子供が自宅へ戻ってくるタイミングで合わせて育休をもらいました。
私は食事を作って、掃除や洗濯をする。そんな育休中の生活でした。もともと掃除や洗濯の家事は好きで、奥さんが妊娠中の時から、私が料理もしていたので、その延長線上のような感覚でしたね。
ひと通り家事を済ませた後は、家族と一緒にいる時間。とても幸せでした。夜泣きはやっぱり大変でしたが(苦笑)、家族みんなで一緒にいる時間をしっかり持てて、生まれたての子供の成長をちゃんと見ることができた。その価値を感じた育休でした。
社長:
なるほどね。
沓澤:
私の両親に、私が生まれた時のことを聞くと、母は「育児は全て私任せだった」と話すんです。そういう言葉を聞くことが、私はずっと嫌でした。父は父なりに仕事を頑張ってたんだと思います。
額賀:
テレビドラマでありますよね、「お前の育て方が悪いからだ」って言うシーン。
沓澤:
私が子供の頃、家族の間でそんな会話が少なかならずありました。今回の育休でしっかり家族と関わって、子供の頃から引っかかっていた気持ちを、乗り越えられた気がします。
10年後とか20年後とかに「あの時、手伝ってくれなかった」って言われない…はずです!! …きっと!(笑)
社長:
私は妻から32年間、「育児は全て、私任せだった」と言われ続けてる…(笑)
沓澤・額賀:
社長は背負ってるものが大きいですから!(笑)
社長:
額賀くんは育休どうだった?
額賀:
赤ちゃんの月齢によって寝る時間や授乳のタイミングが変わってくるので、子供の成長に合わせて生活リズムが変わりましたね。
初めの頃は、私は夜中のお世話を担当してました。夜中に起きてると、人間って気持ちがしんどくなっちゃうので。妻の負担を軽くするために「私がやるよ」と!
あとは沓澤さんと同じように、私も料理、掃除、洗濯といった家事をやっていました。妻の妊娠前から、私は料理していたし、いつもの延長線のような感じです。
社長:
なるほどね。
額賀:
私と妻は付き合って長くて、結婚して2年経ちますが、出産前までは互いに休みがかぶらない生活をしていたんです。育休中は、本当に何年かぶりに一緒の時間を過ごしました。子供の話題はもちろんですが、お互いに好きなものの話とか、たわいもない会話をたくさんできたことは、私はとても良かったなと思ってます。妻もそう思ってくれてるといいなぁ。
社長:
良い時間を過ごしたんだね。
額賀:
私の友人たちの間では、うちの子供が初めに生まれた子なので、毎週友達が来てくれました。私がアパレルの学校へ行ってた時代の友達なので、見た目はやんちゃっぽい子たちなんですが。うちの子供を見ると、すごい優しい顔になるんですよね。
よくテレビで「子供は社会みんなで育てる」と言われているのを目にしますが、友達がうちの子と会って遊んでくれると、子供の成長にすごくつながるんだろうって思うんです。友達がたくさん会いに来てくれて嬉しいですね。
社長:
友達が「俺たちも一緒に育てるんだ」みたいなノリになってるんだね(笑)
社長:
育休に対するお客様の反応ってどんな感じだった?
沓澤:
育休前に「育休を取ります」という報告をお客様(取引先)に伝えたら、好意的な声が多かったです。
この業界は女性が多いということもあって、「育休という形で、家族のために動けることは素晴らしい」「会社として良い取り組みだ」と、ありがたい言葉をいただきました。
額賀:
私も同じようにありがたい反応ばかりでした。中には、「なんで男性なのに育休取るんですか?」と驚かれることもありましたし、私の父も「なんで育休取るの!?」って反応が返ってきました。そういう時は、きちんと理由を伝えると受け入れてくれるんですけどね。
育休を伝えて感じたのは、相手は嫌味を言いたいわけではなくて、単純に疑問に感じるからなんだと思います。性別や世代とか関係なくて。とても嫌な態度を取ってくる人はいませんでしたね。
沓澤:
まだ育休のことが浸透していないだけなんですよね。きっと。
額賀:
育休中に泣いてる子供を抱っこしてる時、お客様から電話がかかってきたことがあったんです。電話口で大泣きする子供の声を聞いて、お客様はちょっと楽しんでいる様子、と言いますか。ご自身の子育てを思い出して「懐かしい」と話してくれましたね。
子供が生まれる前は、お客様との会話は世間話ぐらいだったのが、お客様から「何歳なんですか?」と聞いていただけたり、子供の話題で盛り上がるようになりました。
沓澤:
そうですね~!
社長:
育休明けの仕事はどうだった?
額賀:
私の仕事を先輩がフォローして下さって、仕事復帰した時に全く仕事がたまっていなかったんです。本当なら私が対応しないといけなかったことも、「こういうことがあったけど、私の方で対応したから報告入れとくよ。見れる時に見といて」って。
お客様へ仕事復帰のご連絡をしたら、「1回会いに来て」「子供の写真を見せて」って言って下さる方が多くて、産休前とは違う楽しさを感じています。
沓澤:
額賀くんから育休の相談を受けた時、結構強めに「育休取った方が良い」って背中を押して良かった!私も悩んだんですけど、結果的に「育休取って良かった」という気持ちの方が強いです。
社長:
今回、沓澤くんと額賀くんの育休の話を聞いて、彼らの育児参加が本人や家族の「ウェルビーイング」につながっていることを感じましたね。
コロナ禍以降、多くの企業で「場所」や「時間」に捉われない働き方が定着し、企業の在り方や働く人たちのワークライフバランスへの関心が高まったことで「ウェルビーイング(Well-being)」という考えが注目されていて、うちの会社では、このウェルビーイングをみんなで学んで実践するための研修を今年から始めました。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的そして社会的に良好ですべてが満たされた状態という意味。「幸せな人は創造性が3倍高く、生産性も1.3倍高く、寿命も7~10年長くしかも健康」と言われ、健康の問題は個人だけでなく、企業・組織のイノベーションや業務効率化とも関係します。企業・組織は、そこで働く人材ができるだけウェルビーイングな状態で仕事をできる環境づくりが求められています。
沓澤:
私と額賀くんは部署は違うけど、私たちは会社の最前線でお客様と接する営業です。社長がおっしゃる通り、自分が幸せじゃないのに、家族、会社、その先のお客様に幸せの輪を広げていくことは難しいですよね。自分自身が良い状態であるほど、それは目の前のお客様との仕事で相乗効果が生まれるような気がします。
幸せの基準は人それぞれです。男性育休はその選択の1つに過ぎないと思いますが、うちの会社の中に育休を取る・取らないという選択肢が用意されていて、その選択を受け入れる風土があることが大切だと思います。そこに魅力を感じて人が集まって、会社がもっと盛り上がる将来があると良いですね。
社長:
うんうん。私はいつもみんなに言うんだけど、利益出して儲かるだけが会社じゃない。会社の中では、仕事を通じて成長したり人間力を磨くことができる面もある。そして、それと同じように幸せ(ウェルビーイング)も掴んでもらいたいと思っています。
沓澤くんと額賀くん、今回のインタビューに協力してくれて、ありがとうございました!
(おわりです。最後までお読みいただきありがとうございました)
今回の記事はいかがでしたか。あるがままの私たちを知ってもらえれば幸いです。
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